財団法人 広島市文化財団
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財団法人広島市文化財団は市民の自発的創造的な文化活動をもりあげ、魅力ある広島の文化を創造します。


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短歌
 ここに掲載した「文芸結社・団体の動向(平成16年1月〜平成17年3月)」は、平成17年11月末発行の第24回市民文芸作品集「文芸ひろしま」に掲載された内容となっておりますが、文芸結社・団体の希望により、掲載していないもの、また、一部変更したものがあります。


          青嵐

代表者 松永 智子
連絡先 広島市中区幟町10−3−601

 青嵐は地中海(創刊 香川進)に所属し、昭和40年に発足。備後・安芸・周防の3グループから成る。
 平成16年1月から平成17年3月の間に「青嵐」を65号から68号まで発刊。
 65号・66号で、松永智子第5歌集『崖のうた』(平成15年10月発刊)の批評を特集。68号では、檜垣美保子第2歌集『コロナの雫』(平成16年9月発刊)批評特集。連載として、小野雅子(地中海会員)による“小野茂樹片片”、佐藤友紀の“鎌倉右大臣小論”、松永智子の“思いつくまま”。また、毎号、歌1首をとりあげてのエッセイ“わたくしの出会った1首”も。「地中海」誌上にかつて掲載された(昭和45年)香川進の“万葉旅行ノート”の転載も回を重ねて15回。詩情豊かな味わい深い文章が好評。
 67号の作品より数首を
 雨のおとに目ざむる夜ふけいづくにか濡るるをこばむ石のあるべし・・・・松永 智子
 砂丘を渡る海風 夕焼けの風紋のうえに風紋を刻む・・・・三木 まり
 二十二歳青さしたたる父の時間わたしの知らぬシベリア抑留・・・・中須賀美佐子
 世に誇ることなど何もなき父が子等に囲まれ眠るが如く・・・・山田ミサ子
 陽炎のたつ場所に立つ君からは毒電波さえ真っすぐ届く・・・・田中 敬
 そうなんだ心に住んでいる人は死んだりしないあの時のまま・・・・国貞 悦子
 また、この号では、岡田聖子・中村はるみによる、〈一語摘み短歌共詠〉28首の作品も好評。
 その他の活動として、3グループが独自に歌会をもつ。「互いに影響しあう仲間である」ことを基本姿勢とし、松永の指導をうけ、作歌研鑽につとめる。毎月松永による「青嵐たより」と担当者による諸連絡。
 行事として、平成16年1月11日、年1回親睦を兼ねた新年総会。長崎から佐々野直樹が出席。平成17年1月9日午前、檜垣美保子の出版お祝い会。3人の歌集批評、出席者の一言スピーチ、花束贈呈、会食等。午後、新年総会。万葉の故地を訪ねる会は、長門の浦(倉橋島)。天候不良による2度の延期を経て、平成17年3月27日、実施。吟行作品より
 長門なる島にうからを恋いて詠む人ら呼ばるる詠み人知らずと・・・・川崎百合枝
 花たちは長き時をこえて咲く私の声の途切れたあとも・・・・M田 幸恵
新入会員6名。会の平均年齢が若くなる。


         

代表者 行本 昭子
連絡先 広島市安佐南区安東四丁目15−24  板倉方  電話 082−878−5084

 『茜』は『地中海』…前田夕暮→香川進…に所属。会員数60。「生きるとは何か、人間とは何か」をテーマに今期は、短歌と評論誌『茜』…季刊、60ページ…を36号から39号まで発行。
 足立三郎の「西行の実像と虚像1、2」は歌人西行の別の貌を語った興味ある評論。柏原宗一が連載中の「香川進先生随伴記・9、10、11、12」は、会話体で書かれた新しい形式の評伝。
 「涙の発見」「記憶の豊かさ」「土に咲く花」「言葉と風景」は行本昭子の巻頭随筆。重光栄が毎号連載の「短歌断章」は33回を迎えた。
 月刊『あかね通信』は、短歌大会の入選歌の紹介、短歌会の報告等、215号から229号まで発行。
 研修は『地中海』新春大会(東京)、全国大会(千葉鴨川)、吟行(三景園)、合評会(広島市・三原市・三次市・西城町・総領町)への参加等により、各自、表現力の向上と深化を目ざした。
 その他の活動として、地元月刊誌の短歌欄担当、行本昭子の小学校児童への短歌授業、短歌大会の選者担当などがある。

会員作品
 目に見ゆるもののなべては焼けたれど記憶は残りき言葉も残りき・・・・行本 昭子
 木も草も静かに季に従ふと見せて密かに己を育つ・・・・伊達 知恵
 反権力犬の遠吠えに似たりけり頭垂れて従きゆく人のしあわせ・・・・重光  栄
 整然と並ぶ脊柱亡き叔母の性あらわすやお骨となりても・・・・世木田照比古
夕餉どきを茶の間のテレビが映しだす爆弾を巻くイラクの少年・・・・小松千賀子
 昇る陽にあわせ激しき蝉しぐれ生の証を告げいるならん・・・・紺谷 宏子
 目の手術したがる母よ人を見る視力はすこし霞めるがよし・・・・暮町 キヨ
 陽が沈みまた明日には陽が昇る今日の悔しさひとまずリセット・・・・伊藤 教子
 祖父に会い言葉を交わす時を持つ夢と分かりてなお暖かし・・・・吉本 一恵
 一歩一歩時を踏みゆく心地して佛通寺山道に落ち葉浴びおり・・・・沖  社善
 趣味でなく生きる術なりわが家ではたまたま男が料理をするだけ・・・・椎木  剛
 分け合いて一つの物を食む時にしみじみ思う家族の絆・・・・能方 幸子


          火幻

代表者 豊田 清史
連絡先 広島市東区牛田旭二丁目2−7  電話 082−228−0063

 平成16年1月から平成17年3月の間に、火幻を182号から187号まで発行。187号まで通巻第48巻となった。
 広島に「人間性の追求」を指向する火幻は、春号「憲法改悪」、夏号「真に反核、非戦を生きた歌人」、「被爆60年、ヒロシマを生きる」等の特集を編集してきた。
 そうしてこうした面では中央誌にも紹介され、今や全国トップの反核非戦誌として紹介されている。

 主な作品は、
 憲法9条を恥する者ありや世界に誇る唯一の国是これ・・・・豊田 清史
 人間のエゴの戦火を見下ろして静かなるかな射手座のひかり・・・・山田美露鬼
 改憲をねらう首相が前文を称えて派兵すこの悪態を・・・・伊藤  宏
 戦争好きの首相を再選したる日本の国民性をひそかに怖る・・・・山本 芳美
 大義なき戦争報ずテレビにて難局の空皆既月蝕・・・・藤井 逸馬
 音のなき遠花火美し裡にもつ訃の悲しみのひしめく夜は・・・・西岡喜美子
 翳りくる黄砂のなだれいま繁く列島を覆う九条の廃る・・・・木村佐和子
 天皇の決断少し早ければヒロシマの惨禍なかったものを・・・・石本 豊司
 独立のこと深く思うや米国にどこまで尻尾を振るのか小泉首相・・・・山口 恃至
 会いに来し直己師の墓地のつゆ草や濃き藍色に花咲かせおり・・・・後藤 幸子
 死ぬことに無神経となる恐ろしさイラクに今日も死者は累累・・・・豊原 国夫
 終わるなき中東の戦禍胸におき琥珀に澄めるガソリンを買う・・・・角谷美代子
 敗戦のわれらひもじく夏の陽に太る南瓜を盗みたかりき・・・・田丸 綾子 なお主宰の豊田清史は、井伏鱒二の「黒い雨」の全文の95%が重松ほか13人の被爆手記を盗作した検証稿540枚を脱稿し、3月に日本歌人クラブに長年貢献したことで、理事会で万場一致名誉会員に推薦された。歌集の出版は同人重田恒子著「遠花火」、古角明子「バラの悲しみ」であった。


          かりん安芸の会

代表者 砂本 ひろ子

 平成16年、歌誌「かりん」は通巻で320号まで発行された。支部便り「安芸通信」は115号まで発刊した。歌会は毎月第4日曜日の午後、生涯学習センターで開かれ、忌憚のない歌評や意見交換が熱く交わされる。今年は会員の活躍も目覚ましく、各方面で受賞が相次いだ。また、第2歌集として河本惠津子の『GIRAFFE』(県歌人協会賞受賞)、義志博子の『風のふくろう』が上梓され、ともに高い評価を得た。「かりん」の全国大会では応募形式(30首詠)で優秀作品に与えられる「かりん力作賞」を近藤道子が受賞。金沢出身の作者が結婚を機に被爆地広島に住み、日常生活に置いた軸足をずらすことなく平和への希求を感性豊かな言葉で表現した「天涯の街」は感慨深い作品として高く評価された。来年も歌集出版を予定した会員がいて活気が予想される。
 黙とうの暗幕下りる一分間われ居ず人居ず蝉時雨降る・・・・「天涯の街」より  近藤 道子
 つきよみの光の卓に置く箸の二膳にきみとの婚はじまりぬ・・・・小野市主催「上田三四二賞」 河本惠津子
 C・Gに甦る爆心地猿楽町路地の朝顔はつぼみ待ちおり・・・・県歌人協会夏の大会大会賞 一瀬 紀代
 おかっぱの遺影のあなたは被爆死の動員学徒〈空腹のまま〉・・・・全国やすうら月の西行祭 森下 ちこ
 ぽっかりと白熊空に浮きており山を捨てたるやすらぎの色・・・・みよし文芸祭短歌大会「天賞」 義志 博子
 背なかの子と夕日を見てた若き日の共感はもう透明となる・・・・中国新聞「歌壇賞」 古家八千代
 星が降るどうしたんだろうざくざくとおみなもともに戦地にいく夜・・・・砂本ひろ子
 被爆せし友のくれたる半夏生その片白はかの日の印・・・・三原 豪之
 時差のなき雲となりたし記憶には残らぬ歩幅のややずれたれば・・・・西 美代子
 一年の生命ひき継ぐ赤とんぼ千年の樹に千年止まる・・・・原  哲夫
 夕陽差すひまわり畑のひまわりを夕陽もろとも切り取りて抱く・・・・河崎 典子
 夏の夜に低く唸れる冷蔵庫ひよこにならぬたまごを抱く・・・・森本 直美
 やまざくら花となる芽と葉となる芽過去のいずこを岐路というべき・・・・正藤 陽子
 二戸・三戸・八戸・野辺地しずかなる祈る形の下北へ向く・・・・丸岡 育枝
 アルプスの石みな光るものを持ち天との交歓ひそやかにはかる・・・・奥本 敦恵


          原点短歌会

代表者 廿日出 富貴子
連絡先 広島市安芸区船越南二丁目2−5−20−203  電話 082−823−0685

 平成16年1月から平成17年3月の間に『原点』復刊7号と8号を発刊し、通巻144号となる。
 歌会は毎月第3月曜日の1時から、広島市中央公民館で開催。2首ずつ出した詠草集より5首ずつ互選し、活発に意見交換を行い、研鑽を重ねている。
 平成16年10月、山田羊三が三次市制施行50周年にあたり功労表彰を受賞した。
●各地の大会における受賞者
  第8回吾妻山短歌大会大会賞
 わが家は過疎の進みし一軒家妻より他に呼ぶ人もなし・・・・山田 羊三
  おおたけ秋の短歌大会市長賞
 のみ・かんな点検しつつ納めゆく大工に明日が始まりてをり・・・・廿日出富貴子
●会員作品
 母はいまあの世で花を愛でていむさくらはゆっくり散り初めにけり・・・・高亀 美子
 米づくりに生活支えて八十路なり減反の話黙して聞きいる・・・・谷川 信明
 アイバンクに届けし日より両の眼を心ひそかに労りており・・・・中川多津子
 引き潮の渚に群れる鳩はハト雀はスズメのなわばりを持つ・・・・畠山 公子
 六十年会うことなかりし友の声電話のむこうは幼なにもどる・・・・山田 育枝
 五十年ぶりに訪いたる故郷のかの日の土橋鉄骨となる・・・・赤瀬 勝昭
 デイサービスの一日に笹をかざりゆく媼らは幼女のごとく輝き・・・・圷  静香
 かけかへし縁なしメガネが君の目の険をいくらか遮りてをり・・・・大橋智恵子
 うたい終え背中の孫は眠るらしやさしき寝息我に伝わる・・・・小笠原美智代
 鱗雲徐々にあかねに染まりゆき八月尽の朝を輝く・・・・奥田 許子
 夏と秋行きかう空の清らかさ海の暮れがたの風ふくらみて・・・・中尾ツユ子
 書き込みをしたカレンダーは過去なれど幸せの日々捨てがたくいる・・・・木原美代子
 淀みなく流るる谿の川ぞいにいのちあふるるごとき新緑・・・・中本 路子
 使い捨てが美徳のごとく過ごしきて不況の波に晒されている・・・・橋本 義正 6月、代表者廿日出富貴子は第1歌集『はにかむやうにためらふやうに』を出版した。


          コスモス短歌会広島支部

代表者 青山 康子
連絡先 広島市中区舟入幸町24−7−409  電話 082−294−2205

 コスモス短歌会広島支部は、宮柊二の創設による白秋系の結社「コスモス短歌会」(本部は東京)の支部である。支部会員は60余名、県下二つの地区(広島・福山)に分かれて活動している。
 それぞれの地区で、月に1度は必ず歌会をもち、その他の活動もしているのだが、ここでは広島地区の活動内容を紹介する。
 歌会の場は、市内東区の生涯学習センター。出席者はたいてい20名くらいだ。
 歌会詠草は、毎月20日までに係の方に提出。係はただちにこれをプリントして、出席予定者に送付するのだ。たったこれだけのことでも、月々これを確実に実施することによるお互いの信頼は、作歌意欲につながるもので、かなり強いものがある。
 そこで月々の支部歌会(広島会場)で注目を浴びた作品を少々掲載してみよう。

 平和の鐘めぐれる池にうすあかき睡蓮いくつ咲きて寂けし・・・・長田 芳江
 ブルートレイン鉄橋渡る遠き音ではこれまでと読書の灯を消す・・・・中村 信一
 駅裏のみ寺に春の日を浴びてのどかにいます五百羅漢は・・・・綿谷百合恵
 透きとほるさよりの群れは春の陽の揺れる水面に見えかくれする・・・・山口 芳子
 二つの腑とりしが生かされ半世紀ことしのさくら眩しく仰ぐ・・・・前保 和子
 いつ誰に貰ひしものか忘るるも「金のなる木」がいきいき育つ・・・・森山 宣子
 歌をよむ日々に用ふる拡大鏡、夫愛用の遺品のひとつ・・・・松田佐喜子
 学校の先生集ひて「刺股」の講習受くとふ春風寒し・・・・徳永 桂子
 崩壊の原爆ドームを見詰めつつ平和アピールなしし法王・・・・青山 康子
 こうして、われわれ短歌を詠むことを日常の課題にしている者にとって、何より大切な事は、日々気楽に歌を詠むことを習慣化させることだ。そのためには先ず自分なりの歌を、毎日1首でもよいから詠むことを日課にして、生活することだと思う。
 この気持ちで、気楽に歌帳をもっての小旅行をしようと会員・平田郁子の世話で、10月7日に島根県をバスで旅行したのはとてもよかった。見学したところは石正美術館・竜雲寺・室谷棚田で、それぞれ印象ぶかく心に遺った。日常生活を離れての小旅行は、作歌意欲をかきたてるいいものだとつくづく思ったものだ。


          真樹

代表者 山本 節子
連絡先 広島市南区段原南二丁目7−11  電話 082−261−5687

 平成16年の1年間に結社誌「真樹」を第1号から12号まで発刊(平均71頁)、通巻867号となる。
 創刊75周年にあたり5年ごとに(初期は5年ごとではない)発刊してきた合同歌集に出詠を募り『宇宙樹 真樹75周年合同歌集』を11月に出版(参加者255名)、合わせて短歌大会を宮島で行う。月刊の方も創刊号と同じ11月号を記念号とした。『宇宙樹』は好評を得、各人が現在の位置を自覚し明日の展望をもつためのリズムとしても再認された。月々の誌上に載ったものからさらに選んだ作品群として本歌集は一つの答えとなっているもの、日本語や日本の文化が広い意味で見直すべき時を迎えているいま「真樹」に拠る人々が持そうとしているものの、これは証明でもあると言わねばならない。次に誌上の折々の特集より抜き出すと、まず新年号では結社賞を発表した。以下は真樹賞(橋本)・年度賞(志田原)から。
 若者はともしきかなや祭り笛音色豊かに息長く吹く・・・・橋本 陽子
 ばら色にしののめの空明け初めて日輪のぼればわれの一日ぞ・・・・志田原茂子
 8月号は例年通り〈広島平和希求号〉として発刊、被爆者もそうでない者も参加し、戦争・被爆体験の風化が言われる中で言葉新たに記憶を深め、現在の世界情勢やわが国のありようへの憂いや悲憤もこめた作品を発表した。世を動かす力の核心には、表現の難しさの中で各自の照らし出してきた理念や正しい見識がなければならず、人類全体の心のありようにわれわれも責任をもって連なっている。その8月号の中から。
 自らを滅ぼす核をつくりたるその知を超ゆる極みなき悔い・・・・実光 紀之
 特攻とは是非善悪を超越せるただ無条件の悲しみにして・・・・金丸 洋子
 雄たけびに敵めがけたる若鷲のいかにか澄みて「戦」解せし・・・・照沼みどり
 会員の植村隆雄は歌集『蛹化の過程』を、伊藤方恵は歌集『葉守の神』を著し(共に真樹叢書)、誌上の特集には友情厚い言葉が集まった。個人的に各種公募に応じて受賞・入選したものは確認しきれないが多かったようである。短歌の集いとして定期的な短歌会や教室が数々持たれており、それぞれに歌の未来を探り、交流を楽しんでいる。対外的な参加としては関西短歌雑誌連盟や広島県歌人協会等の役員及び選者に主幹や会員らが多々関わった。
 平成17年は新たな5年の第一歩としてあらためて一地方誌のあり方を模索し努めて清新でありたい。


          草木短歌会広島支部

代表者 三浦 恭子
連絡先 広島市西区庚午中二丁目13−10

 「草木短歌会」は、編集発行人を吉田和人とし、本部を神奈川県に置いている。
 平成16年1月から17年3月まで、歌誌「草木」を第35号から49号まで発刊した。
 広島支部は、草木創刊と共に発足、毎月第1金曜日に西区民文化センターにおいて歌会を開き、「新しい抒情空間の創造を目指す」ことを目標として、作品の相互批評を主とした方向で研鑽をつんでいる。
 4月6日、三次の風土記の丘、尾関山公園へ花見を兼ねての吟行会、出席者12名。
 10月9日、10日第3回盛岡全国大会。島田修二逝去後26日目という哀しみの大会乍ら、「草木再生」の熱い願いが込められていた。広島より出席者9名。
 11月5日、横須賀市中央公園にて、島田修二歌碑除幕式、並びに同日、横須賀市プリンスホテルにて、島田修二を「偲ぶ会」が執り行われた。広島支部より12名出席し、両所において、久保本寂を中心に碑歌を朗詠した。
 横須賀の丘に吹く風いちにんのいのちの重み世界に告げよ・・・・島田 修二
 横須賀の海を見はるかす美しい丘の上、この碑の傍らに一度も立つことなく師は永眠された。
 新たな自立の道を歩み始めた我々は、この度同行の友2名の入会もあり、意欲的である。
 新人作品2首
 今朝の雪に「香炉峰の雪いかにや」といふ床しき言葉重ね思ひぬ・・・・福原瑠璃子
 日記書く手を止めて聞くほととぎすしじまの中に融けてあとなし・・・・尾和 玲子
 以下各大会における会員の入賞作品
 みわたせば冬野に白し転生の息吹を吐きて立つ一樹あり・・・・宮島全国短歌大会 三浦 恭子
 指示をなすわれを大将と呼ぶ生徒今朝はポニーテールの髪ゆらし行く・・・・宮島全国短歌大会 堀内 孝子
 ひとり子の吾にそそがれし母の愛窒息しそうな日々もありしよ・・・・第23回市民文芸 光原 桂子
 無賃乗車の若者と車掌の押問答のらりくらりと駅二つ過ぐ・・・・おおたけ春の短歌大会 児玉 三佳
 墓みちの斜りに咲ける野薊のとげ光らせる彼岸のひかり・・・・吾妻山短歌大会  三刀屋安子
 体裁という衣そろそろ摩り切れるわれ透き照らすこの望の月・・・・歌人協会新年短歌大会 高橋 洋子
 各大会での入賞者は多いが割愛する。


          白炎短歌会

代表者 新田 隆義
連絡先 広島市安佐南区高取北一丁目36−32  電話 082−878−3677

 平成16年1月から平成17年3月の間に「白炎」を147号から151号まで発刊。主な作品は
 いくたびもふくろうが啼き妣の棲む異界はいずこわれを呼ぶ声・・・・三原 豪之
 裸木の間に遠く見えてゐし団地の灯火寄せくるごとし・・・・百谷 和代
 愛欲は少なし無くなる事もなく起伏のありて日々の明け暮れ・・・・廣山 光雄
 英霊はホタルとなりて還りしと特攻基地に白蓮蕾む・・・・村上 耿志
 遺書もなく遺影もあらず追悼の白き空間に手をあわせたり・・・・鷹下さち子
 見つければ必ず殺すという出遭い見つけられるな狭庭の百足・・・・正藤 陽子
 やさしさに自ら選ぶ死もありてカンカン冬の遮断機降りる・・・・森本 直美
 「白炎創立40年記念短歌大会」を平成16年6月西区民文化センターにて開催。講師に久々湊盈子先生を迎え、出詠140首、出席104名の盛会であった。
 われの歌一首が栞となされいて亡夫の日記はそれより余白・・・・大会賞 研井 悦子
 夕ぐれに鵯の鋭き声 佗助の花ひとついま地に落ちしか・・・・優秀賞 玉津 富子
 夏に生れし少女なりしや朝刊のお悔み欄に「夏子・七歳」・・・・優秀賞 石本 照子
 短歌会は舟入公民館にて毎月第3日曜の午後開催。
 アンカーの我にひたひた添ひてくる八月の死者みな夭かりき・・・・新田 隆義
 水底に映れる雲を刺し通し蘆の角芽はするどく立てり・・・・鈩谷 君子
 もう母を心配しなくて済むといふ哀しき安堵や雪を見てゐる・・・・檜垣 宏子
 小川尚子、是高真佐子、信本テル子、羽場敏恵らも熱心。県下の短歌大会でも会員の健闘が光った。
  歌人協会「春の短歌大会」 大会賞
 お香香の炊いたん「大名煮」とゆうて母は居ります雪降る里に・・・・田部 紀子
  広島市短詩型文芸大会 教育長賞
 児童数ねんねん減りて校庭のヒマラヤ杉の高さ際立つ・・・・高野 和子
  第87回呉短歌大会 呉市長賞
 二歳児の反りて見上げる視野のなか麒麟は大きくはみだしてゐる・・・・村上 光江
 入賞者はまだ多いが割愛した。三原豪之、高野和子、原哲夫、新田隆義は各大会で選者を務めた。


          柊短歌会

代表者 岡田 逸樹
連絡先 広島市東区愛宕町5−21  電話 082−262−3629

 平成16年は柊短歌会発会53周年に当り、会誌『柊』を130(冬号)から133(秋号)まで発行。
 130では大伴家持、131では山部赤人、132では花万葉、133ではおおきみ(大王)の時代について木谷英一が、また前号秀歌1首鑑賞を三浦恭子と百谷和代が、前号作品評を花岡芳春、河野富香、村上耿志、原哲夫、鈩谷君子、高野和子、光岡詔子らが執筆した。
 年間無欠詠者は、大西創子、木谷英一、河野富香、河野きよみ、小山美恵子、城東つきよ、高田馴三、高野和子、新田隆義、原哲夫、橋本味佳枝、廣山光雄、町芳子、三浦恭子、光岡詔子、三刀屋安子、三原豪之、三宅イスミ、百谷和代、山重美岐、村上耿志、遊川みつ子、若山成子、岡田逸樹ら、24名が力詠した。
 月例研究会は尾長学区集会所で開催、主な作品は、
 やりなおす人生なんて 水仙は水仙の高さに花をつけており・・・・(新年例会1・25)高野 和子
 満月に照らし出されし公園が夜更けて白きみずうみとなる・・・・(如月例会2・22)鈩谷 君子
 公園の日溜りのなかに孵化しさうなゲートボールの迷子の球です・・・・(弥生例会3・28)百谷 和代
 四肢麻痺の少女が懸命に歩みくる たんぽぽのような胸のふくらみ・・・・(卯月例会4・25)高野 和子
 アべリヤの花の垣根に背をよせて若き二人の手話弾みいる・・・・(皐月例会5・23)河野きよみ
 母の墓洗へるわが手に載りて来しそら豆のやうな雨蛙ひとつ・・・・(水無月例会6・27)新田 隆義
 鵜と生れて哀しむすべは知らざらむ生き生きとして夜の川にあり・・・・(長月例会9・26)三浦 恭子
 木洩れ日は網戸に映えてゆらゆらとキリンの首の来てゐる気配・・・・(神無月例会10・24)光岡 詔子
 夢などを買わざるわれは宝くじ購う友の辺に空仰ぎ待つ・・・・(霜月例会11・28)石井 庸代
 老い来しは相共にして細雨の一つの傘に帰りゆく家・・・・(師走例会12・26)三浦 恭子
 その他、第20回宮島全国短歌大会では、
 みわたせば冬野に白し転生の息吹を吐きて立つ一樹あり・・・・(広島県知事賞)三浦 恭子
 枯れて尖りて海にからくも立てる樹に花のごと渡りの鳥か 憩へり・・・・(宮島町長賞)橋本味佳枝
 ほか、吾妻山大会では三刀屋安子、三原豪之、今村榮子、広島市短詩型文芸大会では高野和子、大西創子、河野きよみ、岡田逸樹、万葉の里安芸津大会では光岡詔子、三浦恭子、高野和子、けんみん文化祭短歌大会では高野和子、大西創子、村上耿志、新田隆義、岡田逸樹らの活躍が目立ったが、多くを割愛した。


          表現短歌会広島支部

代表者 宮田 定  広島市中区基町18−1−1857  電話 082−228−6370
連絡先 広島市佐伯区坪井2−567−2  川手ゆり江  電話 082−922−4800

 「表現」(礒幾造主宰)は平成16年から17年にかけても着実に発行され、この3月号で第526号となった。広島支部は広島市中央公民館での月例会は3月で第375回である。なお、1月より支部の会計は林の担当となった。1月13日(木)には鯉城会館で支部新年会並びに新迫の卒寿祝賀の会を開催し、4月号で野田の丁寧な記念会記を掲載の予定。
 表現1月号では昨年11月京都での全国大会参加の記事を有木も執筆。3月号の礒幾造歌集『常日』、11月号の町井貞子歌集『紅梅』及び17年3月号の長屋雅子歌集『紅芙蓉』の各評の執筆に新迫も加わる。また研究シリーズの「正岡子規の一首」「山口茂吉の一首」については宮田、新迫も執筆。表現作品評は新迫も分担した。重原敏郎氏は11月21日 食道癌のため78歳で逝去された。2月号で、その追悼文を新迫が書いて常しえのご冥福をお祈りする。
 主な作者は
 アメリカ兵狙へるテロのつづくとふイラクを思ひ朝食を食む・・・・宮田  定
 紅梅の花は咲き満ち輝きて地に触るるほど枝の垂れたり・・・・新迫 重義
 「ちちをかえせ ははをかえせ」と詠む詩碑の峠三吉被爆の怒り・・・・武田 兵衛
 命絶えてこの似島に六十年草薙ぎていまみ骨を拾ふ・・・・川ノ上信恵
 ようやくに心開きしこの児なり別れの時のせまりくる春・・・・金原 瓔子
 暇(いとま)なくこの身にかかる雑事など厭うことなく働きて過ぐ・・・・高橋 茂子
 石棺の正面碑文読みくだし不戦の誓い心にあらた・・・・沖川 義雄
 自が持ちし記録を胸に走るとう孫の幾年只管なりき・・・・武内あきら
 核兵器の惨状と死に満たされし原爆の絵の焼きつく記憶・・・・有木 絢子
 キャタピラの轍の跡を辿りゆく移転の近き夫のみ墓に・・・・川岡サダ子
 柔らかく黒豆煮ゆる匂ひして雪積りつつ年は暮れゆく・・・・林  敬子
 能面をうち居し夫の思い出の工具の数多新居にはこぶ・・・・野田てい子
 宮田はPL教団歌会の指導に尽くし、武田は黎明短歌会代表の任に励む。有木は原爆語り部として貢献。


          広島アララギ会

代表者 柳川 清
連絡先 広島市東区牛田本町二丁目5−7  電話 082−221−0682

 当会は歌誌新アララギ及びアララギ系歌誌会員で構成、平成16年の1年間に計12回(5月は選者石井登喜夫氏及び添田博彬氏来広)の歌評会を開いた。
 なお、会員伴明子氏は平成17年6月1日死去した。
 主な作品と作者は次のとおり。
 「アララギはひとりの人の物ならず」息荒き伴明子さんの声を忘れず・・・・米安 幸子
 掻き集めて敷金払ひぬと子が言へば親馬鹿は銀行に急ぎ来りぬ・・・・森重 裕朗
 朝起きて話す相手なきさびしさを訪ひたる吾に母が洩らしぬ・・・・水野 康幸
 真白なコートの裾を翻し自転車の娘が朝の町行く・・・・宇和川啓子
 駿足なればメロスと名付けし雑種犬十五年を生きて老い著し・・・・向井 信之
 わが町の空につばめら飛び交ひて雛らが家の中賑やかす・・・・杉本 敏恵
 根比べにコンクラーベを置き換へて法皇選びのニュース聞き継ぐ・・・・宇根 聰子
 「もしもし」の声音に体調よしと知る常伏しの母に桜の話す・・・・柳川 史子
 つつましき願ひを持ちて憲吉先生の御墓辺に生ふる草をひきゆく・・・・山本美穂子
 齢よりも若きつもりに暮らしゐて思ひ出だせぬ名は幾人も・・・・箕浦 栄子
 ガラス戸越しに見ゆる年譜に三十八歳に逝きし独歩とここに来て知る・・・・吉野 道子
 蓑虫の鳴くを知らざりし九十年入院して読みし芭蕉に知りぬ・・・・坪田  孟
 亡き父の笑まひし顔を思ひ出せず仏壇の写真の顔も厳しく・・・・和田 紀元
 姉が逝き兄逝き母逝き父逝けり被爆後十年をわれは忘れず・・・・赤川 昭子
 亡き妻の俤に似る人なりき職退きてなほ独り身といふ・・・・大本 弘志
 移し迎へし父母の仏壇に手向けたり庭に手折りし白萩の枝・・・・西郷 澄子
 来年は来年はと思ひ退き際を迷ひつつゐて七十七年・・・・辰川  勉
 歌の無き十幾年のただ悔しがむしゃらに医を学びしならねど・・・・藤原 俊彦
 人前に接吻せしことなき吾は曽我ひとみさんに気圧されてゐる・・・・柳川  清
 ベーコンと野菜と炒り卵パンにのせて炎暑のりきる昼食とせむ・・・・大野 伸子


          広島県歌人協会

代表者 村上 照男(会長)
連絡先 事務局 広島市南区段原南一丁目12−18−206  相原由美  電話 082−262−7302

 平成16年1月から17年3月までの間に、会報「うたびと」を93〜97号まで発行した。
 当会は県内在住者を主体に構成されていて、現在会員数は500名弱である。
 会報「うたびと」では、協会が主催または後援した短歌大会の報告や県内各地の会員の活動の記録、随筆などを掲載し、会員の相互研修、親睦を図っている。
 5年毎に合同歌集「律動」発行。本年度は第6集。
 また、若い世代への短歌の継承を目指して「ヤング短歌募集」をして投稿を募っている。今年は応募総数2400余首、応募校38校であった。「うたびと」97号ではその特集を組み、表彰をした。
 主催する短歌大会は、新年・春・夏の3回開催する。
 16年新年大会は1月24日、尾道市公会堂で開催。選者は池田友幸、小西眸、小林基美、鳥山順子、三原豪之の5氏であった。
 大会賞に「渡り来し真鴨水面を幾たびも走りておのが命を祝う 正藤陽子」が選ばれた。
 春の大会は4月11日、広島市西区民文化センターで開催された。選者は三原豪之、高野和子、新田隆義、原哲夫の4氏であった。
 大会賞は「お香香の炊いたん『大名煮』とゆうて母は居ります雪降る里に田部紀子」が選ばれた。
 夏の大会は、7月25日、「まひる野」の島田修三氏を講師に迎えて開催した。「〈いま〉の思いを」と題して講演のあと、大会賞に「C・Gに甦る爆心地猿楽町路地の朝顔つぼみ持ちおり 一瀬紀代」が選ばれた。
 17年新年大会は1月29日、ビューポートくれで開催。大会賞は「ふるへつつわたの木の実のふくらみてゆく朝百舌の鋭き声のする 坂田義章」。選者は、伊藤玲子、稲島隆志、河崎典子、村上照男、山本敏治。
 また県内各地で行われた短歌大会を後援した。全部は紹介できないので次の2大会を挙げる。
 第20回宮島全国大会(4月4日)では、
 みわたせば冬野に白し転生の息吹を吐きて立つ一樹あり・・・・(広島県知事賞)三浦恭子
広島市短詩型文芸大会(10月31日)では、
 「水、水を」の声うちに起つ八月のダイ・インの地にベビーカーが来る・・・・(広島市長賞)西村昌子
 会員が年間に出版した歌集の中から歌人協会賞を選ぶ。今年度は候補歌集10冊のなかから選考された。
  広島県歌人協会賞 河本惠津子歌集「ジラフ」
同       本谷正輝歌集「畔径の歌」
新鋭賞      檜垣美保子「コロナの雫」


          広島未来短歌会

代表者 城東 つきよ
連絡先 広島市安佐北区あさひが丘四丁目10−9  電話 082−838−1781

 平成16年1月から平成17年3月の間に、歌誌未来を1号から15号まで発刊。通巻638号になる。未来掲載の主な会員の作品は次の通り。
 樫落葉ふみ甘樫丘に登る蒼天にふうわりと湧く古代雲・・・・河野きよみ
 「戦場のピアニスト」観しより苦しくて科のごとくに庭草?る・・・・城谷 榮子
 黒パンのような林に雨が降る、あまいんだってねあかいんだってね・・・・紙村 一味
 陽を受けて鏡の如き池の面映れる樹々はみな逆立てり・・・・先村 義之
 判ろうとしない自分は横におきただ受け入れる静けさにいる・・・・長谷川光子
 なすことの遅き夫との外出は玄関先に小さく諍ふ・・・・村上 園子
 一月は過ぐるに迅しわが短歌落ち穂拾いのごとく乏しき・・・・吉光 義雄
 四本の支柱の立ちて蘇る被爆アオギリ台風過ぎて・・・・三田 恵子
 息かけて醒ます三面鏡の一面は私の知らない横顔ゆるる・・・・縄岡千代子
 川のように地吹雪するに独りゆくこんな冷たい厳しさが好き・・・・土井 昌子
 川のほとりに眠る王女を見初めたる軍神マルスの子とロムルスは・・・・宮本まさよし
 地下へ降りコーヒー飲みているま昼世界にたつたひとりのように・・・・城東つきよ
 2004年未来東京大会は7月、東京中野サンプラザにて開かれた。
 2004年度未来賞佳作を紙村一味氏が受賞した。
 11月28日けんみん文化祭ひろしま文芸祭「短歌大会」が豊栄町総合文化センターにて開かれ、未来誌選者の佐伯裕子氏より「短歌を作るということ」―現代短歌を中心にして―と題して講演があった。広島歌会から数名が出席して学ぶことが多かった。
 月例の歌会では地道に研鑽を重ねており、紙村氏の未来賞佳作受賞に力を得、努力したく、縄岡千代子氏の第23回市民文芸2席受賞も、未来誌にて常に力作発表の由縁と思うことである。
 今年の未来大会は東京から神戸ベイシェラトンホテルに移して8月に開会の予定である。


          りとむ短歌会広島

代表者 白川 朝子
連絡先 廿日市市峰高二丁目2−25  電話 0829−39−0071

 「りとむ短歌会広島」は、三枝メ之・今野寿美両主宰の本部を川崎市に置く「りとむ短歌会」の広島支部である。平成16(2004)年1月から17年3月までに、歌誌『りとむ』は、第13巻1号から6号までと、第14巻1、2号(通巻77号)を発刊した。
 この77号では、毎号2名が選ばれる「十首詠」に、佐久間千沙子の「観音堂まで」と題した歌詠が、178名の中から選ばれた。また、76号の題詠「なみ」及び77号の題詠「みや」では、佐久間千沙子が特選に選ばれた。佐久間千沙子は、既に75号の題詠「すな」の選者を務めている。なお、題詠では、74号の「ちらす」で末森知子が佳作に、75号では、特選に白川朝子、次席に末森知子・堀越照月が選ばれ、76号では、次席に白川朝子、佳作に末森知子が選ばれた。
 また、歌誌『りとむ』の「前号作品を読む」の欄では、70号に青野蘭、72号に青野蘭・白川朝子、73号に白川朝子、74号に青野蘭・安田克子、76号に青野蘭・佐久間千沙子の歌が選ばれた。これらの歌群から8首を紹介しておきたい。
 君が生命ささえてゐるは点滴と茫たり夜半をまんじりもせず・・・・青野  蘭
 渾身の力もて死を拒むきみの波打つ胸をただに撫でゐし・・・・佐久間千沙子
 母の形見のカシミヤのストール身に纒ひ少しかなしく風の街行く・・・・佐久間千沙子
 海砂は違法に採られし 洞深くひりひり母恋ふ砂滑の子ら・・・・末森 知子
 空に繁るぶなの梢の一所小鳥せはしく光を散らす・・・・末森 知子
 紅茶葉のおさまるまでの砂時計はつか香の立つ朝の卓・・・・堀越 照月
 何時の間に四人の孫の祖母になり只只祈る人になりけり・・・・安田 克子
 「空」の字は少し滲みてとぼけ顔 遊び心の見ゆる楽しさ・・・・白川 朝子
 広島支部は、毎月1回メルパルクにおいて歌会を開き、持ち寄った詠草及び歌誌『りとむ』所載歌への相互批評のほか、「歌集」の考察を行った。平成16年4月には、三枝メ之氏を迎え、りとむ岩国との合同歌会を、10月には「心の花」の西田郁人氏をお招きして歌会を行った。歌集としては、平成16年2月に、白川朝子が540首を収めて、ながらみ書房から『茜雲』を、平成17年2月に、末森知子が341首を選んで、青磁社から『花粉化石』を共に刊行した。


          黎明短歌会

代表者 武田 兵衛
連絡先 広島市南区東雲一丁目19−26  金子美代子 電話 082−282−4616

 同人誌「黎明」は31号を数えた。また二羽ミツコ著歌集「沙羅の花」がNHK学園から刊行された。
 会員の作品より
 理念たかく感動あらたのそのすがた黎明歌誌に友にも及べ・・・・武田 兵衛
 なごやかに育つ曾孫のトピックス月々に待つ灯火(ともしび)として・・・・沖本 茂子
 恃めなき農にてあれどわれの手になめらなる水を田に引く・・・・二羽ミツコ
 寒空へ子等の撒きたる豆の散る追われて鬼の行き場所は何処・・・・油野はつ枝
 長き貨車過ぐるを待ちぬ苛立ちの本性引きずり残り世生きる・・・・浅枝きよみ
 灯し火の水にかがやく町川に沿ひて帰らむ木々の待つ家・・・・金子美代子
 大型の台風・地震・大津波ことしは災難なきやういのる・・・・上田美智枝
 東天紅岩戸開きのはじめより人に尽くせし鶏年迎う・・・・宮内 柵影
 有平くん愛し(かなし)ずいずいずっころばしを共に唄いてあそぶ・・・・松本 カネ
 冬陽ぬくし穫り入れ終えし山田にはひつじ穂ゆれて朱に染まりぬ・・・・坂井 正子
 食べる者居ぬかもしれぬきんとんも慈姑も詰める惰性のままに・・・・黐池満智子
 寺庭の紅葉銀杏の葉を掃きて報思講法座の手伝いをなす・・・・池田 安子
 湯来の知己夜は猪昼は猿二、三十匹群なし野菜荒すと・・・・柳井ルリ子
 停車するたびに遠のく吾が家に解き放されて湧く旅ごころ・・・・徳永 一枝
 この時を切に生きよと師の言葉心においていくとせ過ぎし・・・・池田 芳子
 よくもまあ米泥棒のその姿真昼に見せる案山子となりて・・・・橋本 みつ
 わが歌碑に木の葉の滴たえまなく青める苔の天辺かざる・・・・藤原幹之助
 岩国基地を発てる米軍機の爆音に北朝鮮の動きを思ふ・・・・金行 清香



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