劇団プロフィール 1965年『RCCドラマグループ』として発足、1988年中国放送より独立後『劇団テアトル広島』と改称。今年は創立53年目。「ささやかではあっても 美しい演劇という芸術の華を この広島の地に咲かせたい。せめて……その芽なりとも育てたい」という創立者 岩崎徹の信念を受け継ぎ、その教えと精神を基に、地元広島に根付いた劇団として戯曲の文学性・芸術性を大切にして大人の鑑賞に堪え得る本物の「面白い芝居創り」を目指している。自主公演以外に、子ども向けのオリジナルミュージカルを40年近く委託公演として広島県下各地で実施。発足以来の公演回数は今年11 月の公演で186回目となります。
舞台は、元大学教授の卓也が妻の奈津と共に運営する一日の利用者が10人程度の小規模なデイサービス施設“湯けむり荘”の事務室。経営は決して楽ではない上に、近々近所に新しくフランチャイズのデイサービスができると聞いた卓也は、昔実家に置いてあった狸の置物にまつわる不思議な話を持ち出し、その御利益を施設の売り物にしようと提案する。唖然とする奈津や職員達……だが、言い出した本人は、自分の変調に怯えていた。認知症ではないかと言う卓也に、奈津の不満が爆発する。「私だって……私だって!」彼女もまた難病の予兆に不安を覚えていたのだ。二人は告知を受ける恐怖を笑い飛ばそうとする。 そんなある日、若いアルバイト正明が採用される。真面目に働く彼の唯一の欠点は、決して笑おうとしないこと。以前勤めていた特別養護老人ホームでのことが原因らしい。「彼が笑いを取り戻すまでほっとけないから、検査はしない。1日も早くその日が来るよう努力しよう」 かくして、利用者の老人達も巻き込んで彼の笑顔を取り戻す宴が始まるのだが、その場に鳴り響く狸の腹鼓の音の意味は!?