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二葉地区のいい伝え

二葉地区に先人から伝えられてきた伝説を、郷土史などから紹介します。

古い資料のため、文字や文章が分かりにくいものがありますが、できるだけ原文のまま紹介しています。
また判明できなかった文字は文脈から推測して文字起こししていますので、ご了承ください。
「○年前」などの表記も原文のままの表記ですので、現在からの年数ではありません。

尾長山の蛇

昔、今の尾長山には、しっぽの長い蛇がいた。
嵐の時に、沖を通る舟が沈むようなことがあると、その長い体をのばして溺れる人をすくったということである。
尾長という名前は、これからついたともいわれている。

二葉風土記(二葉中学校社会科クラブ 昭和29年頃 編集)

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尾長山の天狗

昔、尾長の岩鼻付近に天狗がいた。この天狗は岩屋の観音さんから岩鼻まで一足で飛んで渡ったということだ。
今でも観音さんの山の上にはこの天狗の足あとが残っており、また天狗が使っていた杖のあとも残っている。 また岩鼻には天狗が腰かけた岩が今でも残っており、その岩に小便をかけた人が天狗の持っていたうちわで吹き飛ばされたが、飛ばされた人はかすりきず一つもおわなかったということだ。
今でも天狗を祭っている家が岩鼻の付近にある。この天狗の家は傘をさし、八つ手のうちわを持って岩にこしをかけている

二葉風土記(二葉中学校社会科クラブ 昭和29年頃 編集)

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国前寺の槌

寛延二年七月のある日の夜より、ばけものが夜になるとさまざまな形をして現れてきては昼でも人をおどしたり、いろいろと悪い事をするようになり、稲生武太夫という者がついにこのばけものをたいじしたのである。
その稲生武太夫という者は三次付近に住む武士で、大胆不敵の勇者で、少しもばけものを恐れずにたいじした。時にわずか16歳であったといわれている。
このばけものは六尺あまりの大男にばけて、長い刀を腰に差してあらわれたのである。武太夫がばけものをたいじした時にばけものはこういう事を言った。「わしは山本(サンモト)五郎左エ門という。わしはおまえにまけた。もう一人わしと同じようなものがいる。そのばけものがきた時はこの槌をやるからそれでたいじせよ」と言って木の槌を稲生武太夫に渡してばけものは消えてなくなったのである。
この槌が今でも尾長の国前寺に保存されてある。
毎年この槌は日を決めて一般に公開される。また、かつて明治天皇が広島市に初めてこられた時にも天覧になられたとも言われている。

二葉風土記(二葉中学校社会科クラブ 昭和29年頃 編集)

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迷える清盛

昔、平清盛が今の二葉山の天神さんがある辺りを歩いていると、道に迷ってうろうろしていると東の空がにわかにくもり、夕立がふりだした。
途方にくれた清盛は、どうか道に出ますようにと一心に天神様にいのった。
するとにわかに空が晴れて、道もわかってきた。
清盛はぶじに帰りつくことが出来た。
それから清盛は、天神様を尊んで立派な社殿を建てたということである。
また、この天神様の祭られているところは昔、菅原道真が九州の大宰府に流される途中、立ち寄ったところともいわれ、今でも天神清水といって水を飲まれたあとが残っている。

二葉風土記(二葉中学校社会科クラブ 昭和29年頃 編集)

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こうじんさん

一人の漁師が今のこんじんさん(曙町)の付近に住んでいた。
ある日、彼が立っていると一人の美しい女がどこからともなく現れて、また消えていった。
漁師はそのあくる日、その女を見ようと思って見守っていた。が、友人が来て話をしているうちに、その女はいつの間にかいなくなっていた。
二人が河原の上を見ると、そこには尾の長いへびが死んでいた。二人はこのへびが女だったのだと思いこんじんさんにまつった。

二葉風土記(二葉中学校社会科クラブ 昭和29年頃 編集)

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不思議な笹

可児才蔵は、広島藩主福島正則の家来としてつかえていた。関ケ原の合戦の時、彼は正則と意見が合わず、ついに浪人して矢賀の才蔵峠に引きこもったが、亡びゆく豊臣氏を見るに忍びず、いろいろ苦しんで考えた末、武士をやめて、仏教の信仰生活に入った。
彼は慶長18年11月24日(約340年前)次のような遺言をして死んだ。「私が死んだらこの地に骨をうずめて墓石を建ててくれ。首より上の病気で苦しむものは、のちに生える竹の葉によってなおることを願えよ。必ずなおるようにしてやる。竹の青い間は効き目があるぞ」と言ったといわれている。
可児才蔵が死んだ後、墓のうしろに竹が生え、現在では「味噌食い地蔵」といわれているが、墓の周りには竹が茂っており、味噌を持ってきてそなえると胕がよくなるとか、またこの竹の葉をかめば、痛い所があるとたちまちなおるとか言われている。

二葉風土記(二葉中学校社会科クラブ 昭和29年頃 編集)

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