つぶらな瞳をもつこの道具、いったい何に使うのでしょうか?
後ろ側を観察すると、大きな口があんぐりと開いています。これは「蚊やり」という道具で、うるさくつきまとう蚊を追い払うものでした。まず、この道具の中にみかんの皮や松の葉、杉などの木くずを入れます。それらに火をつけて、煙で蚊などを追い払うのです。
蚊取り線香が明治時代に登場し広まるまで、この蚊やりを使うことが一般的でした。蚊取り線香を焚くための豚の形をした道具を「蚊やり豚」と呼ぶのは、その名残です。
「江戸府内絵本風俗往来(明治38年発行)」より
煙で追い払う蚊やりのようす
国立国会図書館蔵
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