1.熱線、光線、爆風、衝撃など |
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熱 線
熱線を感じた人はいなかった。熱風を感じた人はいる。
光 線
光線を感じた人、光線を見た人は多数いる。ピカッと光ったのを体で感じた。青白い閃光が走った。空一面が瞬間的に明るくなった。近くで何かが燃えあがったような感じがした。
爆 風
爆風は衝撃音の大きさで、感じとった人はあまりいない。風圧のようなものは多数の人が感じている。
衝 撃 衝撃は一様に感じている。ドーンという音がした。腹部にこたえた。地ひびきを感じた。火薬庫が爆発したような感じだった。 大和重工で爆発がおきたのかと思った。瞬間的に地に伏せた。恐怖で家の中にとびこんだ。また、家の外にと飛び出した。 |
2.雨、火災など |
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雨
原子爆弾投下後に広範囲に降った黒い雨は、可部地域には降らなかった。
火 災 原子爆弾投下が原因での火災は、可部地域にはなかった。
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3.人的、物的被害 |
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人的被害 地域より広島市内に行っていた人達の被害は大きかったが、投下時の可部地域における人的被害はなかった。動物では、犬が激しく吠えたり遠吠えをしたりしたことを覚えている。
物的被害 家屋の倒壊はなかった。天井板が落ちたり、瓦、ガラスにひび割れをしたりした家はあった。
家自体の新旧、痛み具合などで同地域内でも被害の実情はまちまちであった。どの地域で被害家屋が多かったと限定することはできず、被害も軽少であった。 |
4.きのこ雲 |
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8月6日は快晴だった。朝から暑い日だった。広島の上空を旋回するB29を可部地域から見た人もあった。8時15分、光と衝撃音の後、広島の上空に異様な雲のかたまりを見る。雲は、中から外側へ湧き出るようにむくむくと広がり、やがてきのこ状の雲になった。
色は、はじめ赤紫、それが次第に石竹色になり、広がっていって、きのこ雲になった時は、全体に白色になっていた。
松根掘リの山で、畑で、道で、住民はこの雲を見た。また衝撃音で驚いて家に閉じこもり、きのこ雲を見ていない住民もいた。 |
5.落下傘 |
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きのこ雲の中から3個の落下傘が出てきた。
風に乗り十数分後に可部上空に来る。人間がいるのかと思ったが、人影はなく、時限爆弾かもしれないと、不安いっぱいで行方を見つめた。
はじめは南西の風に流されていたが、可部上空あたりで、風向きが変わり、1個は福王寺のふもと、1個は勝木の中腹、1個は大毛寺の報恩寺の西の水田に落ちた。
ただちに安佐部隊の命令で非常線が張られ、通行禁止になった。また、落下点を中心に、半径1km以内の家の住民に避難命令が出た。
時限爆弾が破裂して、家屋が倒壊するかもしれないので、少しでも被害を軽くするために、窓は全部あけて出るように指示された。該当する家の住民は立退いたが、中には死ぬときは自分の家で、といって動かない人もいた。 |