原爆被災と亀山

第1節 被爆前の状況 第2節 疎開の状況 第3節 地域での被爆時の状況
第4節 被爆後の状況 第5節 地域住民の救援活動 第6節 あとがき 



第3節 地域での被爆時の状況

1. 熱線、光線、爆風、衝撃など 2. 雨、火災など 3. 人的、物的被害
4. きのこ雲 5. 落下傘  

1.熱線、光線、爆風、衝撃など
熱 線
 熱線を感じた人はいなかった。熱風を感じた人はいる。
光 線
 光線を感じた人、光線を見た人は多数いる。ピカッと光ったのを体で感じた。青白い閃光が走った。空一面が瞬間的に明るくなった。近くで何かが燃えあがったような感じがした。
爆 風
 爆風は衝撃音の大きさで、感じとった人はあまりいない。風圧のようなものは多数の人が感じている。
衝 撃
 衝撃は一様に感じている。ドーンという音がした。腹部にこたえた。地ひびきを感じた。火薬庫が爆発したような感じだった。 大和重工で爆発がおきたのかと思った。瞬間的に地に伏せた。恐怖で家の中にとびこんだ。また、家の外にと飛び出した。
 .雨、火災など

 
原子爆弾投下後に広範囲に降った黒い雨は、可部地域には降らなかった。
火 災
 原子爆弾投下が原因での火災は、可部地域にはなかった。
3.人的、物的被害
人的被害
 地域より広島市内に行っていた人達の被害は大きかったが、投下時の可部地域における人的被害はなかった。動物では、犬が激しく吠えたり遠吠えをしたりしたことを覚えている。
物的被害
 家屋の倒壊はなかった。天井板が落ちたり、瓦、ガラスにひび割れをしたりした家はあった。
 家自体の新旧、痛み具合などで同地域内でも被害の実情はまちまちであった。どの地域で被害家屋が多かったと限定することはできず、被害も軽少であった。
 4.きのこ雲
   8月6日は快晴だった。朝から暑い日だった。広島の上空を旋回するB29を可部地域から見た人もあった。8時15分、光と衝撃音の後、広島の上空に異様な雲のかたまりを見る。雲は、中から外側へ湧き出るようにむくむくと広がり、やがてきのこ状の雲になった。
 色は、はじめ赤紫、それが次第に石竹色になり、広がっていって、きのこ雲になった時は、全体に白色になっていた。
 松根掘リの山で、畑で、道で、住民はこの雲を見た。また衝撃音で驚いて家に閉じこもり、きのこ雲を見ていない住民もいた。  
5.落下傘 
   きのこ雲の中から3個の落下傘が出てきた。
 風に乗り十数分後に可部上空に来る。人間がいるのかと思ったが、人影はなく、時限爆弾かもしれないと、不安いっぱいで行方を見つめた。
 はじめは南西の風に流されていたが、可部上空あたりで、風向きが変わり、1個は福王寺のふもと、1個は勝木の中腹、1個は大毛寺の報恩寺の西の水田に落ちた。
 ただちに安佐部隊の命令で非常線が張られ、通行禁止になった。また、落下点を中心に、半径1km以内の家の住民に避難命令が出た。
 時限爆弾が破裂して、家屋が倒壊するかもしれないので、少しでも被害を軽くするために、窓は全部あけて出るように指示された。該当する家の住民は立退いたが、中には死ぬときは自分の家で、といって動かない人もいた。 

  原爆被災と亀山は、次の文献に基づいて取りまとめました。
資 料 名 「あのとき閃光を見た 広島の空に」より 
  昭和59年度 可部町被爆体験記録集 「川のほとりで」
   可部町被爆体験継承編集委員会
     広島市亀山公民館、広島市可部公民館 
発 行 者 広島市教育委員会事務局社会教育部社会教育課
発行年月 昭和61年3月

まちの歴史に戻る


(財)広島市未来都市創造財団 広島市亀山公民館 〒731-0232 広島市安佐北区亀山南三丁目16-16 TEL・FAX(082)815-1830